決して交わることのない(軌道上の)、それでいて求め合う(万有引力によって引き合う)二つの存在(恒星と惑星)
これがこのMVの企画会議にて共有された難解なコンセプトである。この壮大な探究の物語を映像化するにあたり、空間的演出的なスケールを持ち込むことも出来たかもしれない。ただ、在り来たりの荘厳さを表現しようとしていたならば、このミュージックビデオは唯一無二の存在感を持ったビデオとして産み落とされる事はなかったのではないだろうか。
星々の廻り巡る物語を演出的なスケールではなく、プリミティブな身体表現によって描写することに挑んだのが本作でコレオグラファー件ダンサーを担当した野口煕子(スターダンサーズ・バレエ団所属)である。
彼女のしなやかでありながら荘厳なその身体表現は、撮影を迎えるまでに何度も推考され、また彼女にとっての挑戦的な技術を持ち込み、それを習得することによって大胆かつ正確にコンセプトを表現している。